ワンストップ特例のやり方と期限
2026年(令和8年)中の寄付を前提に、総務省・国税庁・自治体の公式情報をもとに記載しています。
先に結論
- 寄付先が5自治体以内で、確定申告をしない給与所得者なら使えます。
- 申請書は寄付1件ごとに、寄付した翌年の1月10日必着で寄付先の自治体へ送ります。消印有効ではありません。
- 控除は所得税の還付ではなく、翌年6月からの住民税が毎月安くなる形で返ってきます。
- 医療費控除などで確定申告をすると、申請済みのワンストップは全部無効になります。その場合は確定申告書に寄付分もすべて書き直してください。
どんな制度か
正式名称は「寄附金税額控除に係る申告の特例」です。本来ふるさと納税の控除を受けるには確定申告が必要ですが、 条件を満たす人が申請書を出しておけば、確定申告なしで控除が受けられます。
確定申告した場合と違うのは、控除の受け取り方です。総務省は「所得税からの控除は行われず、全額が翌年度分の住民税から控除されます」と説明しています。 つまり所得税の還付金が口座に振り込まれることはありません。その分も上乗せされた金額が、翌年6月以降の住民税から差し引かれます。
控除される総額は確定申告と同じになるよう設計されています。「ワンストップだと損をする」というのは誤りです。 むしろ住宅ローン控除を2年目以降で受けている人は、確定申告をすると住宅ローン控除を所得税から引ききれなくなることがあるため、 ワンストップの方が有利になる場合があります(控除上限額シミュレーターでも該当時に注意を表示します)。
使える人の条件
- 確定申告も住民税申告も必要のない人。会社員・公務員などの給与所得者が中心です。個人事業主、給与が2,000万円を超える人、副業の所得が20万円を超える人などは対象外です。
- 1年間の寄付先が5自治体以内であること。6自治体以上に寄付した場合は確定申告が必要です。
数え方は自治体の数です。同じ自治体に3回寄付しても1自治体と数えます。返礼品の品数や寄付の回数ではありません。 ただし申請書は寄付1件ごとに提出が必要で、同じ自治体に3回寄付したなら申請書も3枚(本人確認書類も3組)必要です。封筒はまとめて構いません。
申請の手順
- 寄付するときに「ワンストップ特例を利用する」にチェックを入れます。多くの自治体は返礼品とは別便で申請書を送ってくれます。
- 届かない場合や急ぐ場合は、寄付先の自治体サイトから「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」をダウンロードして印刷します。
- 氏名・住所・マイナンバー・生年月日と、寄付年月日・寄付金額を記入し、2つのチェック欄(確定申告をしないこと、寄付先が5自治体以内であること)にチェックします。
- 本人確認書類のコピーを添えて、寄付先の自治体へ郵送します。送り先は自分の住んでいる市区町村ではありません。
提出期限
寄付した翌年の1月10日必着です。2026年中の寄付なら2027年1月10日。消印有効ではなく到着ベースなので、 年末年始の郵便事情を考えると年内に投函しておくのが安全です。
なお2027年1月10日は日曜日で、翌11日は成人の日にあたります。地方税法には期限が休日にあたる場合に翌日へ順延する規定があり、 過去には条文どおり順延した自治体(都留市など)と、期限どおり1月10日到着分までとした自治体、逆に前倒しの日付を告知した自治体に分かれました。 2026年8月時点で2026年寄付分の告知は出そろっていません。順延をあてにせず、1月10日より前に届くよう出してください。
必要な本人確認書類
マイナンバーカードがあるかどうかで組み合わせが変わります。
| 持っているもの | 申請書に添えるコピー |
|---|---|
| マイナンバーカード | カードの両面のコピー(番号のある面と顔写真のある面)だけでOK |
| マイナンバーカードなし+運転免許証やパスポート | マイナンバー入りの住民票(または通知カード)+ 顔写真付き身分証1点 |
| マイナンバーカードも顔写真付き身分証もなし | マイナンバー入りの住民票(または通知カード)+ 健康保険証・年金手帳など2点以上 |
通知カードは2020年5月に廃止されました。記載された氏名・住所が今の住民票と一致している場合のみ、番号確認の書類として使えます。 引っ越しや結婚で変わっている場合は使えないので、マイナンバー入りの住民票を取得してください。
オンライン申請
マイナンバーカードがあれば、スマホアプリで完結するオンライン申請に対応した自治体があります。 郵送も書類のコピーも不要になるので、対応していれば断然こちらが楽です。現在は「自治体マイページ」と「ふるまど」の2つのサービスが主流です (以前あった IAM のワンストップ申請機能はふるまどに統合されました)。
マイナンバーカードが必須で、通知カードでは利用できません。対応しているかは寄付先の自治体か、寄付したポータルサイトの案内で確認してください。 郵送の期限が順延された年でもオンラインだけは1月10日締切とした自治体があるため、期限は個別に確認するのが確実です。
引っ越し・結婚で住所や氏名が変わったら
申請書を出したあとに住所や氏名が変わった場合は、翌年1月10日までに「申告特例申請事項変更届出書」を寄付先の自治体へ提出します。 判定に使われるのは寄付した翌年1月1日時点の住民登録情報なので、年末の引っ越しはとくに注意してください。 郵送の場合は新しい住所・氏名が確認できる書類のコピーも添えます。
確定申告をすると無効になる
国税庁は「確定申告を行う方は、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が無効となる」と明記しています。無効になるのは次の場合です。
- 所得税の確定申告をした(住民税申告だけでも無効です)
- 申請書を出した自治体が6以上になった
- 申請内容が1月1日時点の住民登録と食い違っていた
見落としが多いのはふるさと納税とは無関係な理由での確定申告です。医療費控除、住宅ローン控除の1年目、副業の申告などで確定申告をすると、 提出済みのワンストップ申請は全件無効になります。「ふるさと納税分は自動的に残る」ということはありません。 この場合は確定申告書にふるさと納税分もすべて記載し、寄附金受領証明書を添えて申告してください。そうすれば控除は問題なく受けられます。
出し忘れたときは
確定申告をすれば控除は受けられます。会社員のように確定申告の義務がない人の還付申告は、対象となる年の翌年1月1日から5年間可能です。 2026年の寄付なら2031年12月31日まで間に合います。
すでに確定申告を済ませていて、そこにふるさと納税を書き忘れた場合は還付申告ではなく「更正の請求」という手続きになります(法定申告期限から5年以内)。
控除されたか確認する方法
会社員なら毎年6月ごろに勤務先から「住民税決定通知書」(給与所得等に係る特別徴収税額の決定・変更通知書)を受け取ります。 確認する場所は「摘要」欄で、多くの自治体では「寄附金税額控除額 市民税◯円/県民税◯円」と記載されています。 この合計が寄付総額から2,000円を引いた金額とおおよそ一致していれば正しく処理されています。
「税額控除額」の欄と見比べるのはおすすめしません。この欄には調整控除(多くの人で2,500円程度)や住宅ローン控除、配当控除も合算されているため、 寄付額と一致しないのが普通です。
控除はいつ、いくら安くなるか
2026年中に合計5万円を寄付し(控除上限額の範囲内とします)、ワンストップ特例を使った場合を例にします。 自己負担2,000円を引いた48,000円が2027年度分の住民税から控除されます。
住民税は6月から翌年5月までの12回に分けて給与から天引きされるため、2027年6月から2028年5月までの住民税が合計48,000円安くなります。 月あたりおよそ4,000円です。ただし端数は6月分にまとめられるのが一般的なので、6月だけ金額が違っても異常ではありません。 自営業などで普通徴収の場合は年4回の納付なので月割りにはなりません。
よくある誤解
| よく見かける説明 | 実際は |
|---|---|
| 1月10日消印有効 | 必着。到着していないと受け付けられません |
| ふるさと納税は5回まで | 5自治体まで。同じ自治体なら何回でも1カウント |
| 同じ自治体なら申請書は1枚でいい | 寄付1件ごとに申請書と本人確認書類が必要 |
| ワンストップでも所得税が還付される | 所得税からの控除は発生しません。全額が翌年度の住民税から |
| 医療費控除で申告してもふるさと納税分は残る | 全件無効。確定申告書に寄付分も書き直す必要があります |
| ワンストップは確定申告より損 | 控除総額は同じ。住宅ローン控除2年目以降ではむしろ有利なことも |
| マイナンバーカードがなくてもオンライン申請できる | オンライン申請にはマイナンバーカードが必要です |
本ページは制度の概要をまとめたものです。個別の手続きや控除額については、寄付先および居住地の自治体、税務署にご確認ください。